かつて、30代女性向けトレンドファッション誌が創刊された当時、たいへん画期的だと言われていましたが、時を経た今、40代向け、50代向けのファッション誌も珍しくありません。
年代に合った装い方を海外事情にも精通したスタイリストや編集者など、プロの面々が懇切丁寧に教えてくれるトレンドファッション誌。
表紙には、「ファッションに悩める私たちの救世主!」というようなキャッチコピーが並んでいるのですが、実際に救世主たり得るのでしょうか?
若い女性のようにトレンドファッションに関心がないとされていた、40代、50代には、その世代をターゲットとしたファッション誌などありませんでした。
それゆえ、ファッションに関心の高い人たちは「自己流オシャレ」を自由に楽しんでいました。
ファッションにそれほどこだわりのない人は、若い頃の服を今も大事にしていたり、流行に左右されないベーシックな服を着たりしていたわけです。
しかし、世代向けのファッション誌ができたことにより、雑誌情報によって「つくられたトレンド」を真に受けてしまう層というのが若い世代同様に出現してきます。
こういった人たちは、自己流ファッションを楽しむ人や、トレンドに興味のない人たちに対し、「イケてない」「貧乏クサイ」というような侮蔑の視線を投げかけることに暗い悦びを見出す傾向があるようです。
ファッションは本来自己表現なのですから、TPOに配慮し、相手を不快にさせない範囲なら、いくらでも自由に装ってよいはず。
それがひとたび、トレンドファッション誌の手にかかれば、NG、禁止、御法度のオンパレード。
自身のワードローブにあるアイテムを、雑誌に登場する “オシャレ番長然”として自身満々なプロたちに「ダサイ!」などとこきおろされれば、面白くないに違いありません。
そんな恨みもあってか、雑誌がNGとするような着こなしを街中で見かけようものなら、同じ雑誌を愛読する仲間と、「見てあれ!」「超ダサイ!」などと盛り上がること必至。
10代、20代ならまだしも、誰かの決めつけた「イタイ」を真に受け、身内と黒い笑いで盛り上がる40代の方がよっぽどイタイように思えるのですが…。
「40歳を過ぎたら自分の顔に責任を持て」
元米大統領リンカーンのこのコトバは、男性に向けて発されたものだそうですが、男女問わずに共通することだと思います。
40にならなくても、自分がしたいと思うファッションにもっと自信を持っていいと思うのです。
ファッション雑誌に登場する“オシャレ番長たち”はなるほど、トレンド界の重鎮かもしれません。しかし、そのトレンドというのは、「購買を煽る」ためのものにしか過ぎません。
私たちが“購買の奴隷”である必要はまったくないのです。巷に溢れる「イタイファッション」認定に怯える必要などまったくナシ。そんな努力するだけ無駄というものです。
大抵の人の「イタイ」という感覚にはたいした根拠もないもの。
雑誌に書いてあったから、オシャレ番長がそう言ってたから…。その程度の認識に過ぎません。
自分がゴキゲンになれる好きな服を着て出かけるのが、表情美人の秘訣。
それがたまたま、オシャレ番長が提唱するオシャレな着こなしだったら、…それはそれでいいではありませんか。
ただ、個性的着こなしのファッショニスタへの敬意はくれぐれもお忘れなく!
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