「忙しい忙しい、と言ってる人ほどよっぽど暇そうに見える。大体忙しい忙しい、って二度もいう暇があるじゃない!」以前、笑いながらそんなことを言う友人がいました。

ここだけの話、本当に忙しい人は、「忙しい」なんて口が裂けても言わないものなんです。

まして「忙しい忙しい」なんて二度も口に出す人の忙しさなんて…。「たかが知れているわね」前述の彼女なら皮肉な笑みを口元に浮かべながら言い放つことでしょう。

端から見ていても本当に多忙な人がいます。親しい人たちは彼女の状況をよく知っています。

「仕事が忙しい」という場合、それは会社的な繁忙期であるとか、悪く言えば、処理能力が低く、頭の回転の速い人ならすぐに片付けてしまえる仕事をいつまでもモタモタやっているとか…。

あるいは、頼まれたら「イヤ」とは言えない性分で、他人の分まで面倒を見てしまうため、いくつも仕事を抱えこんだ結果、忙しさに自分を追い込んでしまう…。

彼女のケースはこれに近いかもしれません。しかし、異なるのは「仕事ではない」ということ。

彼女が抱えている多くのことは報酬には繋がらないのです。誰かから評価されるものでもない。多少感謝はされるかもしれないけれど、…それは稀なケースです。

誰かがしなくてはならないことを、誰も引き受け手がいないから、彼女が一手に引き受けているという状況です。

まったくお金にならないボランティアとして実にまめまめしく立ち働く彼女について、「あの人は暇人だから」などと陰口をきく人も中にはいます。

しかし、実は彼女、ボランティアの隙間時間を活用して、フルタイムで働く人には及ばないながらも、それなりの収入を得ているというから驚きです!

さらに多趣味で、ジャンルの違ういくつかの習い事を掛け持ちしています。それぞれの習い事でそれなりの成果を上げており、代表や調整役を務めたりもしているようです。

そんな彼女ですから、当然交友関係も幅広く、映画や観劇、ランチや飲み会など、いつも予定がぎっしり。

いうまでもなく、彼女はいつも表情がいきいきと輝いている美人で、同性からも異性からも、とても慕われています。

当然ですが、彼女の口から、「忙しい」というコトバを聞いたことがありません。

「いつ寝てるんだろう?ちゃんと食べているのかな?」そんなふうに周囲に気を遣わせることもなく、いつも元気で弾けるような笑顔を見せ、彼女の処理能力の高さには舌を巻く限りです。

こんなにも多忙の中でも、美しさを失わず、むしろ輝いていられる秘訣はどんなことなのでしょう?

それは、「来た誘いをむげに断らない」ことなのだそうです。「忙しいときほど、楽しいことを大事にしたい!」それが彼女の信条。

苦手な人、一緒にいて気詰まりな人の誘いも断らないのでしょうか?「そういう人は、向こうから声をかけてこないんです」

彼女曰く、無為な時間を過ごしていると、そういう、自分と合わない人からの誘いがくることも多い。

しかし、わずかな時間も無駄にせず、大切に過ごしていると、その手の、苦手な人からの誘いはまず、来なくなるのだとか。

「スケジュールが合わなかったら、次の機会に!と言うことを忘れません。その機会はなるべく早めに、私の方からセッティングするようにします」

なるほど、そうした人と人との関わりをけっしておざなりにしない、真摯な姿勢が“美”を作るのですね!納得しました。