ある女性の体験談です。

幼少期の彼女は食が細く、食事マナーに厳しい母親からの毎度の叱責もあり、食事時間が憂うつで仕方なかったそうです。

一転して大食らいになったのは、思春期の頃。

友人たちとお喋りしながらの外食に、「食べ物ってこんなにおいしいんだ!」と食の楽しさを再認識したのだと言います。

それからの彼女はとにかく食べる。10代の彼女は、一日5食、6食当たり前。焼肉を食したあと、平気で寿司屋にいけるほど強靱な胃の持ち主。

両親も、きょうだいも総じてふくよか。肥満傾向の家族の中で、食の細い彼女は「ガイコツ」などと呼ばれていましたが、あっというまに肉付きのよい体型に。

そんな彼女、ハタチのときに大恋愛と大失恋、両方を体験。その傷手ですっかり食欲がなくなってしまい、ゲッソリと痩せてしまいました。

初恋の彼への未練が断ち切れない彼女、恋人がいてもいい、自分は日陰者でいい、セカンドの立場に甘んじるから、と彼を説き伏せ、復縁に至ります。

今カノにバレないように神経をすり減らし秘密の逢瀬を重ねながらも、常に今カノへのジェラシーでストレス溜まり放題。今度はヤケ食いに走り、ぽっちゃりでは済まない肥満体型へと進化を遂げます。

154cmと小柄の彼女、最盛期の体重は76kg。同じくらいの身長の子たちが、5号7号の服を着ているのに対し、彼女の服はナント15号!

「でも、その頃が私の人生の絶頂期、大モテ期」とにかく異性に言い寄られる。老いも若きも、オタクもイケメンも、よりどりみどりの選び放題だったそう。

「ちやほやされ、貢いでくれる人にも事欠かなかったから、いつも自信満々。周囲からしたら、“あのデブ、ブスのくせに何様のつもり!?”って腹立たしかったと思う」

彼女の自信家キャラに目をつけたのが、女性雑誌の編集者。ダイエットモニター企画を持ちかけます。「痩せたら賞金出します、って。俄然張り切りました」

かくして彼女、必死でダイエットに励み、みるみる痩せていきます。

編集者曰く、「見違えるほどキレイになった」はずなのに、彼女の周囲にいた取り巻きたちは潮が引くように彼女から去っていったのだとか。

ダイエットは成功し、賞金も手にしましたが、あれほど溌剌と生きるエネルギーに満ちていた彼女はすっかり自信喪失。

ダイエット成功後は、雑誌モデルをすることになっていたのですが、その契約も彼女のネガティブな態度のせいで反古になってしまったそうです。

過度なダイエットは体から潤いを奪ったり、将来の骨粗鬆症に繋がるなど、未来の自分に負債を残しかねません。

さらに、彼女の体験談からは、「必ずしも、痩せたら人生薔薇色というわけではない」ということが、分かっていただけたと思います。

ふくよかな女性を好む、デブ専の人というのも確かに存在しますが、彼女の当時のハンパないモテ方はそれだけでは証明できない。

いま振り返って、自身の魅力として思い当たるのは、根拠のない自信だったのでは?と彼女は推測します。

「美人の自信家はただのイヤミだけど、デブやブスの自信過剰は「おや?」と人の興味を惹くのです。どうしてこの女性はこんなにもポジティブなんだろう? なにか秘密があるに違いない、と」

どんな美人でもあまりにもネガティブキャラだったら、一緒にいたくないですよね。

自信に溢れ、表情が輝いて見える人は、多少ルックスに難があっても、コンプレックスが顔に滲み出ているネクラ美人より五倍はモテること、請け合い!